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私が福知山の駅前を出発したのは午前10時半頃の事だった。
今日はここから福知山の市街地を抜けた後、国道176号線の与謝峠を越えていざ日本海側へと入り、宮津市内の岩滝口で国道176号線とお別れして国道178号線へと乗り換え、天橋立の北側にあたる府中の集落を目指す、という行程になっている。
途中の与謝峠は標高がおよそ330m程度の小峠であるが、いかんせんこの時期の日本海側への峠越えという事もあって、残雪の具合が分からないというのが不安要素ではあった。
私は福知山の市街地を抜ける前に、沿道にあった家電量販店にちょいと立ち寄り、デジカメのメモリーカードを買い足してから、いざ与謝峠へと向かって行った。
程なくして市街地は途切れ、国道175号線が由良川に沿う頃には、周囲の景色はすっかりと田舎めいた落ち着いた雰囲気になっていた。
由良川に沿ってしばらく国道175号線を北上した後、国道175号線とはここでさよならし、国道176号線へ。
路肩には除雪車が停車していた。
おおっと。
すぐそばには残雪が残る。
いよいよ早春の日本海の峠への入り口である。
国道176号線へと入ると、今までのようなほとんど平らな道ではなくなり、そこそこ登り基調の坂道が続くようになった。
せっせと斜面を登りカーブを曲がる。
むむむ。
道が続く先にある山並みには雪がかかっている。
もう既に3月も初旬という事もあって、山肌が一面真っ白ということではなかったが、山肌に生い茂る林の合間からはぽつぽつと雪が山肌を覆っている様子がよく窺えた。
気づけば路肩にも雪が残り始め、歩道もところどころで雪に覆われるようになってきていた。
やっぱり今回もまた前回に引き続き雪道での自転車走行か!
雪道ないしは沿道に雪が残っている状況では、細心の注意を払いながら走行するのはもちろんのこと、あまりに状況が酷い場合には自転車を降りて押して歩いて行く、という選択も考えなければならない。
…しかし、そうは言えども、まだ自転車での走行が不可能な程に道路一面に雪が残っている状態というわけではなかった。
路肩にも雪は残るが、量的には本当に些細なものであり、差し支えなくごく普通に峠を登って行ける程度である。
まぁ、こんくらいなら雪景色を楽しみながらこのまま気持ち良く走れるんだけどなぁ。
頼む…!このままの感じで頂上まで行ってくれれば…!!
私はそう強く願いを込めながら、峠の頂上へ向けてじりじりと坂道を登って行った。
ここから与謝峠までは一旦標高250m付近まで登った後、トンネルを抜け、そこから少し標高を下げて山間の集落へと出た後、再び登り坂を登り、再度トンネルで峠を越える、という道程である。
幸いにも第一の頂上へ至るまでは残雪の具合はさほど変わらず、先程までの心配はどこへやら、結局私は雪道に苦労させられる事は無く、無事トンネルの手前まで辿り着く事が出来た。
なあーんだぁ〜、楽勝じゃないですかぁ〜(・∀・)ニヤニヤ
この残雪具合なら、後の行程もちょろいもんよぉ売(`・ω・´)グッ!
最初の頂上に辿り着いた時の私の心境はこんな感じであったように思う。
…後にますます雪深くなる周囲の光景に、いよいよやばいんじゃないの??((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
と焦り出すとはいざ知らず、私はこの時、意気揚々と自転車でトンネルを抜け、再び登り坂を登り終えた先にある与謝峠の頂上を目指して、ひとまず軽やかに坂道を下って行ったのであった…
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